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さよならノーチラス号

新宿紀伊国屋サザンシアターに、「さよならノーチラス号」を観にいく。

この芝居はキャラメルボックスの作品のなかでも5本の指に入るぐらい大好きな作品。
成井さんの弟の少年時代をモチーフにつくられたこの作品は、ほかの作品に比べるとおとなしめで、盛り上がりも少なめで、かけっこも少なめの、キャラメルとしては異質といえる作品かもしれないけれど、それだけに情感のあふれる芝居。
11年前の初演はビデオで何度も見返していて、せりふもほぼ、「間違えばわかる」ぐらいには頭に入っています。

初主演の多田君、がんばってました。みずみずしく初々しいかんじで、キャラもあってた。あの膨大なせりふが入っただけでも拍手です。
早口すぎてところどころ聞き取れない部分もありましたが…
上川さんも新人のころはものすごくせりふ早くて何言ってるかわからないこと多かったもんね。今後に期待。

おっかーさんの勇也は、初演の上川さんの勇也とはかなり雰囲気が変わっていました。
まあわるくは無かったけど、隆也にくらべるのは酷かなと。
初演のほうがいかにもサブリナと信頼関係、愛情関係で結ばれている感じが濃かった気がします。せりふの無い場面でのしぐさとかがね。
あと「理沙への想い」がすこし希薄なように思いました。 今回初めて見た人につたわったかなあ。

その理沙ですが、正直今回の理沙はわたしはあまり好きでない。
温井さんは上手な女優さんだとは思いますが、なんかちょっとわざとらしくてタケシが憧れを抱くには今一歩魅力が無かった。
もちろんまったくの主観ですが。

しかしなによりうざかったのは治男。 ごめんなさい、以下辛口です。
でしゃばりすぎだし、ギャグも笑えないし、もういいから!って何度もおもいましたです。
不要なギャグが多いのってキャラメルの役者さんでもやりすぎるとうざいのに、カラーの違う人がそれをやっちゃうとほんとみてて辛い。

やっぱキャラメルの役者さんでそろえたほうがよかったんじゃ??
もう一人の客演の方(芳樹)もいまいち深みが無いというか、ただの冷たい人間にしかみえなかったし。 まあ、芳樹については初演のときも「理沙さんは彼のどこがよくて結婚したんだろう」と思いましたけど、それでも彼の苦悩は初演(岡田達也)のほうが出てたと思う。

でもでも、今回の収穫はなんといっても生サブリナが観られたこと。
サブリナはやっぱり坂口さんのいちばんの当たり役ですねー かわいくっておかしくって、どう見ても犬そのもの。

そうそう今回はダンス変わってましたね。ところどころ前の振り付けが混じってましたが。
わたしは初演のほうが好きでした。初演のほうがメリハリがあってかっこよかったハート達(複数ハート)

もう一度上川(勇也)と近江谷(治男)コンビで、生ノーチラスを観たいと、どうしても思ってしまった今回の公演でした。

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7 Days Judgement-死神の精度

シアタートラムに「7 Days Judgement-死神の精度」を観にいく。 

シアタートラムってずいぶんと小さな劇場なのですね。約200席とのこと。
座席もベンチにちょっとクッションがついただけの簡素なもので、2時間見るとお尻や背中が痛くなりました。

今回は最前列中央の席だったのですが、ステージに手が届きそうに近い。
じっさい劇中で中川君がステージの下に携帯を落として、おもわず拾ってあげようかというかんじでした。(お隣の人はちょっと腰を浮かしてた)
まあ拾われても劇中でリアクションに困るでしょうが…

芝居は伊坂幸太郎氏原作の「死神の精度」。
原作は短編集らしいのですが(未読)、そのなかの「藤田と死神」の話を多少の脚色を含めて芝居にしたそう。

お目当ての中川君はすごくよかったです。今回は歌はまったくなしのストレートプレイなんだけど、役者ぜんぜんいけるよってかんじ。
やはり才能に恵まれた人ですねー。
役柄としてはやくざの下っ端の役で、精一杯いきがっているけど基本単純で愛すべき男。まあ実際には心の傷を抱えてたりもするんですが。
奇抜な格好とはうらはらに(ピンクとかの派手な柄もののファッションでした。かわいかったけど)几帳面な男らしく、布団を隅々までぴしっと広げたり、くつをきちんとそろえたりするところが面白かったです。

死神役の香川照之さんはやっぱりうまいねー。
音楽を聴くときのうっとりした表情や、慣れない人間界でズレた会話をするところはおかしいやら、かわいいやら。彼の表情の一つ一つがツボでした。

ラサールさんもよかったけれど、やくざの幹部(なのかな?)にしては多少迫力に欠ける気が。

全体に静かな芝居でした。
音楽といえば劇中で死神が聴く(死神は人間界の音楽(ミュージック)が大のお気に入り)音楽のみ。
静かなうえにストーリーにも盛り上がりが少なくて、間の取り方も結構長めなせいか、中盤眠くなりましたふらふら

11月には、ミネルバ・ワークスの「死神の精度」を観にいきます。
こっちはほかの短編もブレンドするそうなので、まったく違う芝居に仕上がることと思いますが。





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「ハッシャ・バイ」

虚構の劇団 「ハッシャ・バイ」を見てきました。

これはずいぶん昔に第三舞台の公演をみていまして、すごく面白かったので、今回も見に行ったのですが、やはり素晴らしかった。

こういう心の深淵を描く作品は、やはり鴻上さんの右に出るひとを思いつけない。
映像や小説では味わうことのできない、まさに演劇ならではの世界を堪能しました。
役者さんもレベル高い~。そんでもって女優さんかわいいーハート

この話は「母と子」がテーマのひとつになっているのだけれど、母親というのはやっかいなものだなあとそら恐ろしい気持ちになりました。
よかれと思って子供にしていることが、じつは取り返しの付かないほどに子供を損なってはいないかと。
前回のときはまだムスメだったのでそんなことは思わず、ただ夢のような現実のような世界を楽しんでいただけだった気がしますが。
座・高円寺という劇場は初めて行きましたが、なかなか面白い建物。
全体に有機的なかんじで、丸窓が壁一面に無数にあいていて、そこから自然光が差し込んでいて 時間によって表情を変える。行かれるかた、建物にも要チェックです。

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「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」

「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」 桜庭 一樹

なんだかよくわからないタイトルですよね?
桜庭さんはちょうど「赤朽葉家の伝説」を読んで面白かったので、ほかのも読みたいと思い、なんの予備知識も無く読み始めたんですが。

ものすごく衝撃的な物語。軽い、ユーモアのある今風の文章とは裏腹の、ヘビイな内容。

「ストックホルム症候群」という言葉をはじめて知りました。
誘拐などの状況で自由を奪われ、密室で犯罪者とともに何日も過ごした人間が、犯罪者から逃げ出すどころか、犯罪者に協力したり、また開放された後も犯罪者をかばったりする心理のこと。
そういう事件がかつてあったということは知っていましたが、この言葉は知らなかった。

そして虐待を受けている子供も同じ状況になるんだそうです。だから虐待を認めず、むしろ親をかばう。
この話に出てくる海野藻屑(この名前からしてすでに虐待)は、「自分は人魚だ」という物語を作ることで、その非情な家庭環境を耐えている。

「ぼく、おとうさんのこと、すごく好きなんだ。」「好きって絶望だよね」

まだ中学生である彼女には、逃げ場所も無く、武器も無い。撃てるのは「砂糖菓子の弾丸」だけ。

つらい、あまりにもつらい物語が、淡々と、ときおりくすっと笑ってしまうほどのユーモアのあふれる文章でカルく、カルく、語られる。

ひじょうに表現力のある作家さんです。こころにずしんと来る。
これはぜひほかの作品も読まなければ。

☆☆☆☆☆

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「死神」

「死神」 篠田 節子

社会福祉事務所ではたらくケースワーカーたちの奮闘を描く連作集。

さすがに篠田さん、人物描写が細かく、内容も緻密な取材に裏打ちされた現実味あふれる内容。

この物語を読みながら思ったのは、生活保護の受給者ってけして「対岸の火事」ではないなあということ。
今の時代、ちょっと気を抜けば一文無しになんて簡単になれるし(テレビをつければ、町に出れば、購買意欲を掻き立てる広告の嵐だ)。

どの話もよかったけれど、とくに、転落したもとヤングアダルト小説家の話が印象的だった。(ファンタジア)
人から注目されなくなってもその人の人生が終わるわけではない。生き続けなければならない。「あのひとはいま」に出てくる芸能人のように。

しかし楽な仕事というのは存在しないだろうとはおもうけど、ほんとうに大変な仕事で身も心もすりへらしそう。

☆☆☆☆

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最近読んだ本

何冊か読んだんですが、なかなか感想をアップする時間がとれず。
とりあえずさくっと列挙します。

「むかつく二人」 三谷幸喜 清水ミチコ

二人のラジオ番組を活字にしたもの。めちゃくちゃ笑えます!
この言葉の応酬をきくと、やはりこの人たち二人ともただもんじゃないぞってかんじ。
落ち込んだときにはぜひ。

☆☆☆☆

「八ヶ岳あかげら日誌」 安部譲二

安部さんといえば「懲りない面々」ですけど、これは彼が八ヶ岳に魅せられて別荘を作ってうつりすむまでのお話。もう10年ぐらい前の本ですが。
小鳥のさえずり、木々の木漏れ日が感じられるような本。もと極道、安部譲二の書いた本とは思えないぐらい。
非日常の世界に浸れますね。

☆☆☆

「あきらめないでまた明日も」 越水利江子 

「てんやく絵本ふれあい文庫」代表の岩田美津子さんの半生を描いた物語。
岩田さんは生まれつき視力が弱く、やがて子供のころの事故がもとで全盲になってしまうのですが、とても明るくて前向きな人。彼女のお母さんもそうですが、どんな境遇にあっても明るい。
母親になってからは、子供と絵本を楽しみたい一心で、日本で始めての点訳絵本を協力者とともにつくりあげ、そこから派生して、無料で点訳絵本を全国に貸し出すネットワークである「てんやく絵本ふれあい文庫」がうまれます。
いまでは全国に大勢のボランティアさんがいて、わたしたちのグループにも何人かいらっしゃる。

彼女のお母さんや彼女自身の生き方を通して、どんなときでも笑顔をわすれず明るく強く生き抜くことのたいせつさをつよく感じる。

印象的だったのはそんなあかるい彼女でも、仕事先でであった意地の悪い同僚のせいで、対人恐怖症におちいった時期があるということ。
そんな低レベルな意地悪をする人間がどうして存在するのだろうと思うのだけれど、結局はそれを上回るあたたかい人たちに支えられて、そのつらい体験を乗り越えてゆく。その姿におおいに力づけられました。

ネットワークが出来てからも郵便料金を下げるために郵政省に直談判に行ったり(しかし点訳書を利用しているのが主に親であり、こどもの大部分は視覚障害ではないから一般郵便料金をとるという当時の郵政省の頭の固さにはうんざりしました。ばかじゃないのってかんじ)、その行動力にはほんとうに頭が下がる。

先日銀座の教文館で、その「ふれあい文庫」のフェアがあったので見に行ってきたのですが(この本はそこで入手したもの)、何百という数の点訳絵本に圧倒されました。
絵本の点訳ってとても細かくて根気の要る作業なんですよねー。
でもたぶん、作っている人たちはすごく楽しくて充実した気持ちを味わっていると思います。
わたしも点訳作業好きなのでわかる。
たのしいんですよ、人の役に立つとかそういうことの前に。
そういうたくさんの人に充実した気持ちをあたえ、なおかつ目の見えない親子に点訳書を無料貸し出しする。
すごく素敵な活動だと思います。

働いても思うようにお金にならなかったり、うんざりしたりつらかったりしたときに、彼女のことを思い出してがんばりたい。

☆☆☆☆☆

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