「光と影」
という東海テレビの製作した番組を見ました。
1999年におきた山口県光市母子殺害事件の弁護団を追ったドキュメンタリーです。
正直わたしの今までの視点は(おそらく世の中の大多数の人がそうであるように)被害者遺族側のものでした。
広島での差し戻し裁判の被告の供述(ドラえもんとかお母さんとか)にも疑問を感じていましたし、そういう供述を引き出して罪を軽くしようとした弁護団(という印象だった)にもいい感情はもてませんでした。
しかしこの番組を見て、あくまでも真実を追究したいという弁護団の姿勢にこころを打たれ、自分の思慮の浅さに気づかされました。
つよい信念がなければけして出来ない仕事。しかも勝ち負けで言えば彼らは負けた側なのです。
こういう番組を制作した東海テレビにも敬意を表します。本来マスコミとはこういう仕事をすべきなのでは。
彼らに対する世間のバッシングがいかに強烈だったかいうこともあらためて知りました。
これらの手紙やメールを書いた人たちは、ある意味正義感のつよい人ではあるのだろうとおもいます。でもやはり物事を一面からしか見ていないといわざるをえない。
なにより匿名性を隠れ蓑にした誹謗中傷というのは醜い。
話はすこし飛びますが、誹謗中傷というと、村上春樹さんの短編「沈黙」を思い出します。
とある噂がきっかけでクラス中から無視されるという経験をした青年の物語なのですが、ラストの彼の言葉が胸にしみる。
「僕が本当に怖いと思うのは、青木のような人間の言い分を無批判に受けいれて、そのまま信じてしまう連中です。自分では何も生み出さず、何も理解していないくせに、口当たりのよい、受け入れやすい他人の意見に踊らされて集団で行動する連中です。(中略)彼らはそういう自分たちの行動がどんな結果をもたらそうと、何の責任もとりゃしないんです。本当に怖いのはそういう連中です。」
短編集「レキシントンの幽霊」に収録されています。ご興味のあるかたはぜひ。

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