「悼む人」
「悼む人」 天童 荒太
一面識もない死者を「悼む」旅を続ける青年、静人。
どう死んだか、ではなく、生きているあいだに誰を愛し、誰に愛され、どんなことをして人に感謝されたことがあるかだけを関係者に尋ね、そのことをもとに死者を悼み、覚えておこうとする。
次から次へと死者を探しては悼む旅をつづける彼を、他人はおろか家族でさえ理解しきれずにいろいろな摩擦を生むのだが、彼は旅をやめることができない。そんな彼を哂いつつ、疑いつつ、惹かれていく人間たちが現れて…。
読み終わったあと心に深くのこる何かがある。
重い、人間のこころの深淵にふれるような物語。
とくに、妻に「殺された」男、甲水朔也が印象的だった。
たぶん誰の心にもほんのすこしだけ、静人はいるんじゃないかな。
だから人はかれに惹かれてゆくんだと、今日もテレビで流れる痛ましいニュースを聞きながらおもった。
☆☆☆☆☆

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